労働者年金保険法 労働者年金保険法施行令(抄)


    労働者年金保険法


朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル労働者年金保険法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公
布セシム
  御 名  御 璽
     昭和十六年三月十日
              内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
              内 務 大 臣 男爵 平沼騏一郎
              厚 生 大 臣    金光庸夫
              大 蔵 大 臣    河田 烈

法律第六十号
労働者年金保険法
   第一章 総則
第一条 労働者年金保険ニ於テハ被保険者又ハ被保険者タリシ者
 ノ老齢、廃疾、死亡又ハ脱退ニ関シ保険給付ヲ為スモノトス
第二条 労働者年金保険ハ政府コレヲ管掌ス
第三条 本法ニ於テ報酬ト称スルハ事業ニ使用セラルル者ガ労務
 ノ対償トシテ事業主ヨリ受クル賃金又ハ給料及之ニ準ズベキモ
 ノヲ謂フ
 賃金又ハ給料ニ準ズベキモノノ範囲及評価ニ関シテハ勅令ヲ以
 テ之ヲ定ム
第四条 報酬ノ額ニ基キ保険料又ハ保険給付ノ額ヲ定ムル場合ニ
 於テハ標準報酬ニ依リ之ヲ算定ス
 標準報酬ニ関スル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五条 保険料其ノ他本法ニ依ル徴収金ヲ徴収シ又ハ其ノ還付ヲ
 受クル権利及廃疾手当金ヲ受クル権利ハ一年ヲ経過シタルト
 キ、養老年金、廃疾年金、遺族年金、脱退手当金又ハ第三十三
 条、第三十四条、第三十八条、第三十九条、第四十七条若ハ第
 五十一条ノ規定ニ依ル一時金ヲ受クル権利ハ五年ヲ経過シタル
 トキハ時効ニ因リテ消滅ス
第六条 本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ規定スル期間ノ計算
 ニ付テハ本法ニ別段ノ規定アルモノヲ除クノ外民法ノ期間ノ計
 算ニ関スル規定ヲ準用ス
第七条 労働者年金保険ニ関スル書類ニハ印紙税ヲ課セズ
第八条 行政官庁又ハ保険給付ヲ受クベキ者ハ被保険者タリシ者
 ノ戸籍ニ関シ戸籍事務ヲ管掌スル者又ハ其ノ代理者ニ対シ無償
 ニテ証明ヲ求ムルコトヲ得
第九条 行政官庁ハ命令ノ定ムル所ニ依リ被保険者ヲ使用スル事
 業主ヲシテ其ノ使用スル者ノ異動及報酬ニ関シ報告ヲ為サシ
 メ、文書ヲ提示セシメ其ノ他労働者年金保険ノ施行ニ必要ナル
 事務ヲ行ハシムルコトヲ得
第十条 行政官庁ハ必要アリト認ムルトキハ被保険者ノ異動及報
 酬茲ニ保険給付ノ決定ニ関シ当該官吏ヲシテ被保険者又ハ被保
 険者タリシ者ノ勤務場所ニ就キ関係者ニ対シ質問ヲ為シ又ハ帳
 障書類其ノ他ノ検査ヲ為サシムルコトヲ得
第十一条 保険料ヲ滞納スル者アルトハ行政官庁ハ期限ヲ指定シ
 テ之ヲ督促スベシ
 前項ノ規定ニ依リ督促ヲ為シタル場合ニ於テハ勅命ノ定ムル所
 ニ依リ督促手数料及延滞金ヲ徴収ス
 第一項ノ規定ニ依ル督促ヲ受ケタル者其ノ指定ノ期限迄ニ保険
 料其ノ他本法ニ依ル徴収金ヲ納付セザルトキハ行政官庁ハ国税
 滞納処分ノ例ニ依リ之ヲ処分シ又ハ滞納者若ハ其ノ者ノ財産ノ
 在ル市町村ニ対シ之ガ処分ヲ請求スルコトヲ得
 前項ノ規定ニ依リ市町村ニ対シ処分ノ請求ヲ為シタルトキハ市
 町村ハ市町村税ノ例ニ依リ之ヲ処分ス此ノ場合ニ於テハ行政官
 庁ハ徴収金額ノ百分ノ四ニ相当スル金額ヲ当該市町村ニ公布ス
 ベシ
第十二条 保険料其ノ他本法ニ依ル徴収金ノ先取特権ノ順位ハ市
 町村其ノ他之ニ準ズベキモノノ徴収金ニ次ギ他ノ公課ニ先ツモ
 ノトス
第十三条 国税徴収法第四条ノ七及第四条ノ八ノ規定ハ保険料其
 ノ他本法ニ依ル徴収金ニ関スル書類ノ送達ニ之ヲ準用ス
第十四条 政府ノ事業ニ使用セラルル者及使用セラレタル者ニ関
 シテハ本法ノ適用ニ付勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
第十五条 本法中町村トアルハ町村訓ヲ施行セザル地ニ在リテハ
 之ニ準ズベキモノトス
   第二章 被保険者
第十六条 健康保険法第十三条ノ工場、事業場又ハ事業ニ使用セ
 ラルル労働者ハ労働者年金保険ノ被保険者トス但シ左ノ各号ノ
 一ニ該当スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
 一 常時十人未満ノ労働者ヲ使用スル工場、事業場又ハ事業ニ
  使用セラルル者
 二 勅命ヲ以テ指定スル工場、事業場又ハ事業ニ使用セラルル
  者
 三 女子
 四 船員保険ノ被保険者
 五 帝国臣民ニ非ザル者
 六 前各号ニ掲グル者ノ外勅命ヲ以テ指定スル者
第十七条 左ノ各号ノ一ニ該当スル労働者ハ地方長官(東京府ニ
 在リテハ警視総監以下同ジ)ノ認可ヲ受ケ労働者年金保険ノ被
 保険者ト為ルコトヲ得
 一 前条第一号、第二号又ハ第三号ノ規定ニ該当スル者
 二 健康保険法第十四条第一項第二号ノ事業ニ使用セラルル者
 三 前二号ニ掲グルモノノ外勅令ヲ以テ指定スル事業ニ使用セ
  ラルル者
 四 前条ノ工場、事業場又ハ事業ニ附属スル事業及前二号ノ事
  業ニ附属スル事業ニ使用セラルル者
 前条第四号乃至第六号ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
 第一項ノ認可ヲ申請スルニハ事業主ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
第十八条 第十六条ノ工場、事業場又ハ事業ガ左ノ各号ノ一ニ該
 当スルニ至リタルトキハ其ノ際同条ノ規定ニ依ル被保険者トシ
 テ其ノ工場、事業場又ハ事業ニ使用セラルル者ニ付テハ前条ノ
 認可アリタルモノト看做ス
 一 第十六条ニ規定スル労働者ヲ常時十人未満使用スル工場、
  事業場又ハ事業ト為ルニ至リタルトキ
 二 第十六条第二号ノ規定ニ依リ指定スル工場、事業場又ハ事
  業ト為ルニ至リタルトキ
 三 前条第一項第二号、第三号又ハ第四号ノ事業ト為ルニ至リ
  タルトキ
第十九条 第十六条ノ規定ニ依ル被保険者ハ其ノ業務ニ使用セラ
 ルルニ至リタル日又ハ同条但書ノ規定ニ該当セザルニ至リタル
 日、第十七条ノ規定ニ依ル被保険者ハ同条ノ認可アリタル日ヨ
 リ其ノ資格ヲ取得ス
第二十条 第十六条及第十七条ノ規定ニ依ル被保険者ハ死亡シタ
 ル日、其ノ業務ニ使用セラレザルニ至リタル日又ハ第十六条第
 四号乃至第六号若ハ第十七条第二項ノ規定ニ該当スルニ至リタ
 ル日ノ翌日(其ノ事実アリタル日ニ更ニ前条ノ規定ニ該当スル
 ニ至リタルトキハ其ノ日)ヨリ其ノ資格ヲ喪失ス
第二十一条 第十七条ノ規定ニ依ル被保険者ハ地方長官ノ認可ヲ
 受ケ其ノ資格ヲ喪失スルコトヲ得
 前項ノ認可アリタルトキハ被保険者ハ認可アリタル日ノ翌日ヨ
 リ其ノ資格ヲ喪失ス
第二十二条 被保険者タリシ期間十四年以上二十年未満ナル者ガ
 被保険者タラザルニ至リタル場合ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依
 リ継続シテ被保険者ト為ルコトヲ得但シ其ノ者ガ日本ノ国籍ヲ
 失ヒタルトキハ其ノ限ニ在ラズ
 前項ノ規定ニ依ル被保険者ニ対シテハ同項ノ規定ニ依ル被保険
 者ト為リタル日以後ニ新ニ発シタル疾病又ハ負傷ニ因ル廃疾ニ
 関シテハ保険給付ヲ為サズ
第二十三条 前条ノ規定ニ依ル被保険者ハ第十六条及第十七条ノ
 規定ニ依ル被保険者タリシ期間ト前条ノ規定ニ依ル被保険者タ
 リシ期間トヲ合算シテ二十年ニ達シタルトキ其ノ他勅令ヲ以テ
 定ムル事由ニ該当スルニ至リタルトキハ其ノ資格ヲ喪失ス
 第二十条ノ規定ハ是上ノ規定ニ依ル被保険者死亡シタル場合及
 日本ノ国籍ヲ失ヒタル場合ニ之ヲ準用ス
   第三章 保険給付及福祉施設
    第一節 総則
第二十四条 被保険者タリシ期間ノ計算ハ被保険者ノ資格ヲ取得
 シタル月ヨリ之ヲ起算シ其ノ資格ヲ喪失シタル月ノ前月ヲ以テ
 之ヲ止ム但シ十六日以後ニ於テ被保険者ノ資格ヲ喪失シタルト
 キハ其ノ月ハ半月トシテ之ヲ被保険者タリシ期間ニ加算ス
 前項ノ規定ニ拘ラズ被保険者ノ資格ヲ取得シタル月ニ於テ其ノ
 資格ヲ喪失シタル場合ニ於テハ其ノ月ハ半月トシテ之ヲ被保険
 者タリシ期間ニ加算ス
 被保険者ノ資格ヲ喪失シタル後更ニ其ノ資格ヲ取得シタル者ニ
 対シテ保険給付ヲ為ス場合ニ於テハ前後ノ被保険者タリシ期間
 ハ之ヲ合算ス但シ左ニ掲グル期間ハ之ヲ合算セズ
 一 脱退手当金ノ支給ヲ受ケタルトキハ其ノ計算ノ基礎ト為リ
  タル期間
 二 命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外同一ノ事業主ノ工場、事
  業場若ハ事業又ハ同一ノ工場、事業場若ハ事業ニ被保険者ト
  シテ引続キ使用セラレタル実期間六月未満ナルトキハ其ノ期
  間
 前項但書ノ規定ハ第五十一条ノ規定ニ依リ差額ノ支給ヲ受ケタ
 ル場合ニ之ヲ準用ス
第二十五条 鉱業法ノ適用ヲ受クル事業ノ事業場ニ使用セラルル
 被保険者ニシテ常時坑内作業ニ従事スルモノ(以下坑内夫タル
 被保険者ト称ス)ノ坑内夫タル被保険者トシテ使用セラレタル
 実期間ニ付被保険者タリシ期間ヲ計算スル場合ニ於テハ其ノ実
 期間ニ付前条ノ規定ニ依リ計算シタル期間ニ三分ノ四ヲ乗ジテ
 之ヲ計算ス但シ左ニ掲グル期間ニ関シテハ前条ノ規定ニ依リ之
 ヲ計算ス
 一 前条ノ規定ニ依リ計算シタル期間三年未満ナル者ノ坑内夫
  タル被保険者トシテ使用セラレタル実期間
 二 坑内夫タル被保険者トシテ使用セラレタル実期間ニ付前条
  ノ規定ニ依リ計算シタル期間ガ十五年ヲ超ユル場合ニ於テ十
  五年ヲ超ユル部分ノ実期間
第二十六条 遺族年金又ハ第三十三条、第三十四条、第三十八
 条、第三十九条若ハ第四十七条ノ規定ニ依ル一時金ヲ受クベキ
 遺族ノ範囲及類位ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十七条 養老年金、廃疾年金及遺族年金ノ支給ハ之ヲ支給ス
 ベキ事由ノ生ジタル月ノ翌月ヨリ之ヲ始メ権利消滅ノ月ヲ以テ
 終ル
第二十八条 政府ハ事故ガ第三者ノ行為ニ因リテ生ジタル場合ニ
 於テ保険給付ヲ為シタルトキハ其ノ給付ノ総額ノ限度ニ於テ保
 険給付ヲ受クベキ者ガ第三者ニ対シテ有スル損害賠償請求ノ権
 利ヲ取得ス
第二十九条 保険給付トシテ支給ヲ受クル金銭ヲ標準トシテ租税
 其ノ他ノ公課ヲ課セズ但シ養老年金ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第三十条 保険給付ヲ受クル権利ハ之ヲ譲渡シ又ハ差押フルコト
 ヲ得ズ
    第二節 養老年金
第三十一条 被保険者タリシ期間二十年以上ナル者ガ其ノ資格ヲ
 喪失シタル後五十五歳ヲ超エタルトキ又ハ五十五歳ヲ超エ其ノ
 資格ヲ喪失シタルトキハ其ノ者ノ死亡ニ至ル迄養老年金ヲ支給
 ス
 坑内夫タル被保険者トシテ第二十四条ノ規定ニ依ル計算ニ依リ
 十五年以上使用セラレタル者ニ付テハ前項ノ規定ニ拘ラズ其ノ
 者ガ被保険者ノ資格ヲ喪失シタル後五十歳ヲ超エタルトキ又ハ
 五十歳ヲ超エ其ノ資格ヲ喪失シタルトキヨリ其ノ者ノ死亡ニ至
 ル迄養老年金ヲ支給ス継続シタル十五年間ニ於テ坑内夫タル被
 保険者トシテ同条ノ規定ニ依ル計算ニ依リ十二年以上使用セラ
 レタル者ニ付亦同ジ
第三十二条 養老年金ノ額ハ被保険者タリシ全期間ノ平均報酬年
 額ノ百分ノ二十五ニ相当スル金額トシ被保険者タリシ期間二十
 年以上一年ヲ増ス毎ニ其ノ一年ニ対シ被保険者タリシ全期間ノ
 平均報酬年額ノ百分ノ一ニ相当スル金額ヲ加ヘタル金額トス
 同一ノ事業主ノ工場、事業場若ハ事業又ハ同一ノ工場、事業場
 若ハ事業ニ於テ引続キ被保険者タリシ期間十年以上ナル者ニ関
 シテハ其ノ者ニ支給セラルル養老年金ノ額ハ前項ノ金額ニ其ノ
 期間ノ毎十年ニ対シ被保険者タリシ全期間ノ平均報酬年額ノ百
 分ノ一ニ相当スル金額ヲ加ヘタル金額トス
 前二項ノ規定ニ拘ラズ養老年金ノ額ハ被保険者タリシ全期間ノ
 平均報酬年額ノ百分ノ五十ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三十三条 養老年金ノ支給ヲ受クル者ガ死亡シタル際其ノ者ノ
 死亡ニ関シ遺族年金ノ支給ヲ受クベキ者ナキ場合ニ於テ既ニ支
 給ヲ受ケタル養老年金ノ総額ガ養老年金ノ五年分ニ相当スル金
 額ニ満タザルトキハ其ノ差額ヲ一時金トシテ其ノ遺族ニ支給ス
第三十四条 被保険者タリシ期間二十年以上ナル者(第三十一条
 第二項後段ノ規定ニ該当スル者ヲ含ム以下同ジ)ガ養老年金ノ
 支給ヲ受クルコトナクシテ死亡シタル際其ノ者ノ死亡ニ関シ遺
 族年金ノ支給ヲ受クルベキ者ナキ場合ニ於テハ其ノ者ガ支給ヲ
 受クルコトヲ得ベカリシ養老年金ノ五年分ニ相当スル金額ヲ一
 時金トシテ其ノ遺族ニ支給ス
 前項ノ規定ハ第三十九条ノ規定ニ依ル一時金ノ支給ヲ受クル場
 合ニ於テハ之ヲ適用セズ
第三十五条 養老年金ノ支給ヲ受クル者ガ被保険者ト為リタルト
 キハ其ノ月ヨリ養老年金ノ支給ヲ停止ス
 前項ノ規定ニ依リ養老年金ノ支給ヲ停止セラレタル被保険者ガ
 其ノ資格ヲ喪失シタル場合ニ於テハ前後ノ被保険者タリシ期間
 ヲ合算シテ養老年金ノ額ヲ改定ス
 前項ノ規定ニ依リ養老年金ノ額ヲ改定スル場合ニ於テ其ノ額ガ
 従前ノ養老年金ノ額ヨリ少キトキハ従前ノ養老年金ノ額ヲ以テ
 改定養老年金ノ額トス
    第三節 廃疾年金及廃疾手当金
第三十六条 被保険者ノ資格喪失前ニ発シタル疾病又ハ負傷及之
 ニ因リ発シタル疾病ガ勅令ノ定ムル期間内ニ治癒シタル場合又
 ハ治癒セザルモ其ノ期間ヲ経過シタル場合ニ於テ勅令ノ定ムル
 程度ノ廃疾ノ状態ニ在ル者ニハ其ノ程度ニ応ジ其ノ者ノ死亡ニ
 至ル迄廃疾年金ヲ支給シ又ハ一時金トシテ廃疾手当金ヲ支給ス
 廃疾年金又ハ廃疾手当金ノ支給ヲ受クルニハ廃疾ト為リタル日
 前五年間ニ被保険者タリシ期間三年以上ナル者タルコトヲ要ス
第三十七条 廃疾年金ノ額ハ被保険者タリシ全期間ノ平均報酬年
 額ノ百分ノ二十五ニ相当スル金額トシ被保険者タリシ期間二十
 年以上一年ヲ増ス毎ニ其ノ一年ニ対シ被保険者タリシ全期間ノ
 平均報酬年額ノ百分ノ一ニ相当スル金額ヲ加ヘタル金額トス
 同一ノ事業主ノ工場、事業場若ハ事業又ハ同一ノ工場、事業場
 若ハ事業ニ於テ引続キ被保険者タリシ期間十年以上ナル者ニ関
 シテハ其ノ者ニ支給セラルル廃疾年金ノ額ハ前項ノ金額ニ其ノ
 期間ノ毎十年ニ対シ被保険者タリシ全期間ノ平均報酬年額ノ百
 分ノ一ニ相当スル金額ヲ加ヘタル金額トス
 第三十二条第三項ノ規定ハ前二項ノ場合ニ準用ス
 廃疾手当金ノ額ハ被保険者タリシ全期間ノ平均報酬月額ノ七月
 分ニ相当スル金額トス
第三十八条 被保険者タリシ期間二十年未満ナル者ニシテ廃疾年
 金ノ支給ヲ受クルモノガ死亡シタル場合ニ於テ既ニ支給ヲ受ケ
 タル廃疾年金ノ総額ガ被保険者ノ資格喪失ノ際支給ヲ受クルコ
 トヲ得ベカリシ脱退手当金及被保険者タリシ全期間ノ平均報酬
 月額ノ七月分ノ合算額(被保険者タリシ全期間ノ平均報酬月額
 ノ十三月分ヲ超ユルトキハ十三月分ニ止ム)ニ相当スル金額ニ
 満タザルトキハ其ノ差額ヲ一時金トシテ其ノ遺族ニ支給ス
 前項ノ規定ハ第三十一条第二項後段ノ規定ニ該当スル者ガ死亡
 シタル場合ニ於テハ之ヲ適用セズ
第三十九条 被保険者タリシ期間二十年以上ナル者ニシテ廃疾年
 金ノ支給ヲ受クルモノガ死亡シタル際其ノ者ノ死亡ニ関シ遺族
 年金ノ支給ヲ受クベキ者ナキ場合ニ於テ既ニ支給ヲ受ケタル廃
 疾年金ノ総額ガ廃疾年金ノ五年分ニ相当スル金額ニ満タザルト
 キハ其ノ差額ヲ一時金トシテ其ノ遺族ニ支給ス
第四十条 養老年金及廃疾年金ヲ受クル権利ヲ有スル者ニハ命令
 ノ定ムル所ニ依リ其ノ一ヲ支給ス
第四十一条 廃疾年金ヲ受クル権利ヲ有スル者ガ廃疾年金ノ支給
 ヲ受クル程度ノ廃疾ノ状態ニ該当セザルニ至リタルトキハ爾後
 廃疾年金ヲ支給セズ
第四十二条 養老年金ヲ受クル権利ヲ有スル者ニハ廃疾手当金ヲ
 支給セズ
第四十三条 第三十五条ノ規定ハ廃疾年金ノ支給ニ関シ之ヲ準用
 ス
    第四節 遺族年金
第四十四条 被保険者タリシ期間二十年以上ナル者ガ死亡シタル
 トキハ其ノ遺族ニ対シ十年間遺族年金ヲ支給ス
第四十五条 遺族年金ノ額ハ左ノ区別ニ依ル金額トス
 一 養老年金又ハ廃疾年金ノ支給ヲ受クル者ガ死亡シタル場合
  ニ於テ其ノ者ニ支給セラルル養老年金又ハ廃疾年金ノ額ノ二
  分ノ一ニ相当スル金額
 二 被保険者タリシ期間二十年以上ナル者ガ養老年金ノ支給ヲ
  受クルコトナクシテ死亡シタル場合ニ於テハ其ノ者ガ支給ヲ
  受クルコトヲ得ベカリシ養老年金ノ額ノ二分ノ一ニ相当スル
  金額
第四十六条 遺族年金ノ支給ヲ受クル者ガ死亡シタルトキ其ノ他
 勅令ヲ以テ定ムル事由ニ該当スルニ至リタルトキハ遺族年金ヲ
 受クル権利ヲ失フ此ノ場合ニ於テ遺族年金ノ支給ヲ受クベキ後
 順位者アルトキハ其ノ者ニ遺族年金ヲ支給ス但シ其ノ者ガ遺族
 年金ノ支給ヲ受クベキ期間ハ既ニ支給セラレタル期間ト合算シ
 テ十年ヲ超ユルコトヲ得ズ
第四十七条 遺族年金ノ支給ヲ受クル者ガ遺族年金ヲ受クル権利
 ヲ失ヒタル場合ニ於テ遺族年金ノ支給ヲ受クベ後順位者ナキト
 キハ左ノ区別ニ依ル金額ヲ一時金トシテ被保険者タリシ者ノ遺
 族ニ支給ス
 一 養老年金又ハ廃疾年金ノ支給ヲ受クル者ガ死亡シタルニ因
  リ遺族年金ノ支給ヲ受ケタル場合ニ在リテハ既ニ支給ヲ受ケ
  タル養老年金又ハ廃疾年金ト其ノ遺族ガ其ノ者ノ死亡ニ関シ
  支給ヲ受ケタル遺族年金トノ合算額ガ養老年金又ハ廃疾年金
  ノ五年分ニ相当スル金額ニ満タザルトキハ其ノ差額
 二 被保険者タリシ期間二十年以上ナル者ガ養老年金ノ支給ヲ
  受クルコトナクシテ死亡シタルニ因リ遺族年金ノ支給ヲ受ケ
  タル場合ニ在リテハ其ノ者ノ死亡ニ関シ既ニ支給ヲ受ケタル
  遺族年金ノ総額ガ其ノ者ノ支給ヲ受クルコトヲ得ベカリシ養
  老年金ノ五年分ニ相当スル金額ニ満タザルトキハ其ノ差額
    第五節 脱退手当金
第四十八条 被保険者タリシ期間三年以上二十年未満ナル者ガ死
 亡シタルトキ又ハ其ノ資格ヲ喪失シタル後更ニ被保険者ト為ル
 コトナクシテ一年ヲ経過シタルトキハ脱退手当金ヲ支給ス但シ
 其ノ者ガ廃疾手当金ノ支給ヲ受クルトキハ一年ヲ経過セザル場
 合ト雖モ之ヲ支給ス
 前項ノ規定ニ拘ラズ現ニ被保険者タル者ニ対シテハ脱退手当金
 ハ之ヲ支給セズ
 第一項ノ規定ハ第三十一条第二項後段ノ規定ニ該当スル者ニ対
 シテハ之ヲ適用セズ
第四十九条 脱退手当金ノ額ハ被保険者タリシ全期間ノ平均報酬
 月額ノ三十分ノ一ノ額ニ被保険者タリシ期間ニ依リ別表ニ定ム
 ル日数ヲ乗ジテ得タル金額トス但シ廃疾手当金ノ支給ヲ受クル
 者ニ支給スベキ額ハ廃疾手当金ノ額ト合算シテ被保険者タリシ
 全期間ノ平均報酬月額ノ十三月分ニ相当スル金額ヲ超ユルコト
 ヲ得ズ
第五十条 廃疾年金ヲ受クル権利ヲ有スル者ニハ脱退手当金ヲ支
 給セズ
第五十一条 廃疾年金ヲ受クル権利ヲ有スル者ガ第四十一条ノ規
 定ニ依リ廃疾年金ノ支給ヲ受ケザルニ至リタル場合ニ於テ既ニ
 支給ヲ受ケタル廃疾年金ノ総額ガ其ノ者ガ被保険者ノ資格ヲ喪
 失シタル際支給ヲ受クルコトヲ得ベカリシ脱退手当金ノ額ニ満
 タザルトキハ其ノ差額ヲ支給ス
    第六節 保険給付ノ制限
第五十二条 被保険者又ハ被保険者タリシ者ガ自己ノ故意ノ犯罪
 行為ニ因リ又ハ故意ニ事故ヲ生ゼシメタルトキハ廃疾年金、廃
 疾手当金又ハ遺族年金ヲ支給セズ
 第三十三条、第三十四条、第三十八条、第三十九条若ハ第四十
 七条ノ規定ニ依ル一時金又ハ遺族年金ノ支給ヲ受クベキ者ガ被
 保険者、被保険者タリシ者又ハ遺族年金ノ支給ヲ受クル者ヲ故
 意ニ死ニ致シタルトキハ其ノ者ニ対シテハ支給セズ此ノ場合ニ
 於テ後順位者アルトキハ其ノ者ニ支給ス
第五十三条 被保険者又ハ被保険者タリシ者ガ重大ナル過失ニ因
 リ又ハ正当ノ理由ナクシテ療養ニ関スル指揮ニ従ハザルニ因リ
 事故ヲ生ゼシメタルトキハ廃疾年金又ハ廃疾手当金ノ全額又ハ
 一部ヲ支給セザルコトヲ得
第五十四条 廃疾年金ノ支給ヲ受クル者ニ付必要アリ認ムルトキ
 ハ診断ヲ行フコトヲ得
 正当ノ理由ナクシテ前項ノ診断ヲ受ケザル者ニ対シテハ廃疾年
 金ノ全額又ハ一部ヲ支給セザルコトヲ得
第五十五条 養老年金、廃疾年金又ハ遺族年金ノ支給ヲ受クル者
 ニ付必要アリト認ムルトキハ其ノ身分関係ノ異動及廃疾状態ノ
 継続ノ有無ニ関シ其ノ者ヲシテ必要ナル書類ヲ提出セシムルコ
 トヲ得
 前項ノ場合ニ於テ書類ヲ提出セザル者ニ対シテハ養老年金、廃
 疾年金又ハ遺族年金ノ支給ヲ一時差止ムルコトヲ得
    第七節 福祉施設
第五十六条 政府ハ被保険者、被保険者タリシ者又ハ保険給付ヲ
 受クル者ノ福祉ヲ増進スル為必要ナル施設ヲ為スコトヲ得
   第四章 費用ノ負担
第五十七条 国庫ハ保険給付ニ要スル費用ニ付勅令ノ定ムル所ニ
 依リ坑内夫タル被保険者タリシ期間ニ係ル費用ニ関シテハ其ノ
 十分ノ二ヲ、其ノ他ノ被保険者タリシ期間ニ係ル費用ニ関シテ
 ハ其ノ十分ノ一ヲ負担ス
 国庫ハ前項ニ規定スル費用ノ外毎年度予算ノ範囲内ニ於テ労働
 者年金保険事業ノ事務ノ執行ニ要スル費用ヲ負担ス
第五十八条 政府ハ労働者年金保険事業ニ要スル費用ニ充ツル為
 保険料ヲ徴収ス
 保険料ノ算定ニ関スル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十九条 被保険者及被保険者ヲ使用スル事業主ハ各保険料額
 ノ二分ノ一ヲ負担ス但シ第二十二条ノ規定ニ依ル被保険者ハ其
 ノ全額ヲ負担ス
第六十条 事業主ハ其ノ使用スル被保険者ノ負担スベキ保険料ヲ
 納付スル義務ヲ負フ但シ第二十事情ノ規定ニ依ル被保険者ノ負
 担スル保険料ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第六十一条 事業主ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ前条ノ規定ニ依リ納
 付スベキ保険料ヲ被保険者ニ支払フベキ報酬ヨリ控除スルコト
 ヲ得
   第五章 審査ノ請求、訴願及訴訟
第六十二条 保険給付ニ関スル決定ニ不服アル者ハ中央社会保険
 審査会ニ審査ヲ請求シ其ノ決定ニ不服アルトキハ通常裁判所ニ
 訴ヲ提起スルコトヲ得
 前項ノ審査ノ請求ハ時効ノ中断ニ関シテハ之ヲ裁判上ノ請求ト
 看做ス
第六十三条 保険料其ノ他本法ニ依ル徴収金ノ賦課若ハ徴収ノ処
 分又ハ第十一条ノ規定ニ依ル処分ニ不服アル者ハ主務大臣ニ訴
 願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第六十四条 保険料其ノ他本法ニ依ル徴収金ノ賦課又ハ徴収ノ処
 分ニ関シ訴願ノ提起アリタルトキハ主務大臣ハ中央社会保険審
 査会ノ審査ヲ経テ裁決ヲ為スベシ
第六十五条 本法ニ規定スルモノノ外中央社会保険審査会ニ関シ
 必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六十六条 審査ノ請求、訴ノ提起又ハ訴願若ハ行政訴訟ノ提起
 ハ処分ノ通知又ハ決定書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ三十日以内ニ
 之ヲ為スベシ此ノ場合ニ於テ審査ノ請求ニ付テハ訴願法第八条
 第三項ノ規定ヲ、訴ノ提起ニ付テハ民事訴訟法第百五十八条第
 二項及第百五十九条ノ規定ヲ準用ス
   第六章 罰則
第六十七条 正当ノ理由ナクシテ第十条ノ規定ニ依ル当該官吏ノ
 質問ニ対シ答弁ヲ為サズ若ハ虚偽ノ答弁ヲ為シ又ハ其ノ検査ヲ
 拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者ハ三百円以下ノ罰金ニ処ス
第六十八条 第九条ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ報告ヲ為サズ、虚
 偽ノ報告ヲ為シ若ハ文書ノ提示ヲ為サズ又ハ其ノ他必要ナル事
 務ヲ行ハザル者ハ百円以下ノ罰金ニ処ス
第六十九条 事業主ハ其ノ代理人、戸主、家族、同居者、雇人其
 ノ他ノ従業者ガ其ノ業務ニ関シ前条ノ違反行為ヲ為シタルトキ
 ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得
 ズ
第七十条 第六十八条ノ処罰ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取
 締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治
 産者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ営業ニ関シ成
 年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
   附 則
第七十一条 本法施行ノ期日ハ保険給付及費用ノ負担ニ関スル規
 定並ニ其ノ他ノ規定ニ付各別ニ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第七十二条 保険給付及費用ノ負担ニ関スル規定施行ノ日ニ於テ
 現ニ使用セラルル事業主ノ工場、事業場若ハ事業又ハ現ニ使用
 セラルル工場、事業場若ハ事業ニ同日迄引続キ第十六条ノ規定
 ニ依ル被保険者ト為ルベキ資格ヲ有スル者トシテ五年以上使用
 セラレタル者ニシテ同日ニ於テ同条ノ規定ニ依ル被保険者ト為
 リタルモノガ被保険者タリシ期間二十年未満ニシテ五十歳(鉱
 業法ノ適用ヲ受クル事業ノ事業場ニ同日ニ於テ常時坑内作業ニ
 従事スル者トシテ使用セラルル者ニ在リテハ四十五歳)ヲ超エ
 被保険者ノ資格ヲ喪失シタル場合ニ於テハ其ノ者ニ対スル脱退
 手当金ノ支給条件及其ノ額ニ付テハ第四十八条及第四十九条ノ
 規定ニ拘ラズ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ為スコトヲ得但シ第三十一
 条第二項後段ノ規定ニ該当スル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
 保険給付及費用ノ負担ニ関スル規定施行ノ日ニ於テ五十歳(鉱
 業法ノ適用ヲ受クル事業ノ事業場ニ同日ニ於テ常時坑内作業ニ
 従事スル者トシテ使用セラルル者ニ在リテハ四十五歳)ヲ超エ
 タル者ニシテ同日ニ於テ第十六条ノ規定ニ依ル被保険者ト為リ
 タルモノガ被保険者タリシ期間六月以上三年未満ニシテ被保険
 者ノ資格ヲ喪失シタル場合ニ於テハ第四十八条ノ規定ニ拘ラズ
 勅令ノ定ムル所ニ依リ之ニ脱退手当金ヲ支給スルコトヲ得但シ
 前項ノ規定ニ依リ脱退手当金ノ支給ヲ受クル場合ニ於テハ此ノ
 限ニ在ラズ
 第二十五条但書ノ規定ハ前二項ノ場合ニ之ヲ適用セズ但シ第二
 十四条ノ規定ニ依リ計算シタル期間六月未満(第一項ノ規定ニ
 該当スル者ニ在リテハ一年未満)ナル者ノ坑内夫タル被保険者
 トシテ使用セラレタル実期間ニ関シテハ第二十四条ノ規定ニ依
 リ之ヲ計算ス
第七十三条 保険給付及費用ノ負担ニ関スル規定施行ノ日前ニ於
 テ被保険者タリシ期間ハ第二十四条ノ規定ニ依ル被保険者タリ
 シ期間ニ之ヲ算入セズ
第七十四条 保険給付及費用ノ負担ニ関スル規定施行ノ日ニ於テ
 勅令ヲ以テ定ムル共済組合ノ組合員タル者ニ関シテハ本法ノ適
 用ニ付勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
第七十五条 保険給付及費用ノ負担ニ関スル規定施行ノ日ニ於テ
 郵便年金契約ノ年金受取人タル者ニ関シテハ其ノ契約ガ郵便年
 金令第十四条ノ規定ニ適用ヲ受クル場合ニ於テハ本法及郵便年
 金法ノ適用ニ付勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
第七十六条 退職積立金及退職手当法中左ノ通改正ス
 第十一条第一項ニ左ノ但書ヲ加フ
  但シ労働者年金保険ノ被保険者タル労働者ニ付テハ其ノ二分
  ノ一以上ヨリ積立ヲ為サザルコトノ申出アリタル場合ニ於テ
  ハ此ノ限ニ在ラズ

別表
 被保険者   日 数    被保険者   日 数
  タリシ期間         タリシ期間
 三年以上   四十日    十二年以上  百六十五日
 四年以上   五十日    十三年以上  百八十日
 五年以上   六十日    十四年以上  二百日
 六年以上   七十五日   十五年以上  二百二十日
 七年以上   九十日    十六年以上  二百四十日
 八年以上   百五日    十七年以上  二百六十日
 九年以上   百二十日   十八年以上  二百八十日
 十年以上   百三十五日  十九年以上  三百日
 十一年以上  百五十日









    労働者年金保険法施行令


勅令第千二百五十号
朕労働者年金保険法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
  御 名  御 璽
     昭和十六年十二月二十七日
                内閣総理大臣 東條英機
                厚 生 大 臣 小泉親彦
                大 蔵 大 臣 賀屋興宣

勅令第千二百五十号
労働者年金保険法施行令(抄)

第二十条 労働者年金保険法第三十六条ノ規定ニ依ル期間ハ廃疾
 ノ原因ト為リタル疾病又ハ負傷及之ニ因リ発シタル疾病ニ付医
 師又ハ歯科医師ノ診療ヲ受ケタル日(健康保険ノ被保険者タル
 被保険者ニ在リテハ健康保険法ニ依ル療養ノ給付ヲ受ケタル
 日)ヨリ起算シ一年トス
第二十一条 労働者年金保険法第三十六条ノ規定ニ依リ廃疾年金
 ヲ支給スベキ程度ノ廃疾ノ状態ハ別表第一ニ該当スルコトヲ要
 シ廃疾手当金ヲ支給スベキ程度ノ廃疾ノ状態ハ別表第二ニ該当
 スルコトヲ要ス


別表第一
 番号  廃疾年金ヲ支給スベキ程度ノ廃疾ノ状態
  一 両眼ノ視力〇・一以下ニ減ジタルモノ又ハ一眼失明シ他
    眼ノ視力〇・三以下ニ減ジタルモノ
  二 咀嚼若ハ言語ノ機能ヲ廃シタルモノ又ハ咀嚼若ハ言語ノ
    機能ニ著シキ障害ヲ残スモノ
  三 両耳ノ聴力耳殻ニ接セザレバ大声ヲ解シ得ザルモノ
  四 脊柱ニ著シキ畸形又ハ運動障害ヲ残スモノ
  五 一上肢ヲ腕関節以上ニテ失ヒタルモノ又ハ十指ヲ失ヒタ
    ルモノ
  六 一上肢ノ三大関節ノ中二関節以上ノ用ヲ廃シタルモノ又
    ハ十指ノ用ヲ廃シタルモノ
  七 一下肢ヲ足関節以上ニテ失ヒタルモノ又ハ十趾ヲ失ヒタ
    ルモノ
  八 一下肢ノ三大関節ノ中二関節以上ノ用ヲ廃シタルモノ
  九 胸腹部臓器ノ機能ニ著シキ障害ヲ残シ終身労務ニ服スル
    コト能ハザルモノ
  十 精神又ハ神経系統ノ機能ニ著シキ障害ヲ残シ終身労務ニ
    服スルコト能ハザルモノ
 十一 以上各号ニ該当セザルモノト雖モ疾病又ハ負傷ニ因リ終
    身労務ニ服スルコト能ハザルモノ

 備 考
  一 視力ノ測定ハ万国式視力表ニ依ル回折異常アルモノニ付
   テハ矯正視力ニ付測定ス
  二 指ヲ失ヒタルモノトハ拇指ハ指関節、其ノ他ノ指ハ第一
   指関節以上ヲ失ヒタルモノヲ謂フ
  三 指ノ用ヲ廃シタルモノトハ指ノ末節ノ半以上ヲ失ヒ又ハ
   掌指関節若ハ第一指関節(拇指ニ在リテハ指関節)ニ著シ
   キ運動障害ヲ残スモノヲ謂フ
  四 趾ヲ失ヒタルモノトハ其ノ全部ヲ失ヒタルモノヲ謂フ
  五 趾ノ用ヲ廃シタルモノトハ第一趾ハ末節ノ半以上、其ノ
   他ノ趾ハ末関節以上ヲ失ヒタルモノ又ハ蹠趾関節若ハ第一
   趾関節(第一趾ニ在リテハ趾関節)ニ著シキ運動障害ヲ残
   スモノヲ謂フ

別表第二
 番号  廃疾手当金ヲ支給スベキ程度ノ廃疾ノ状態
  一 両眼ノ視力〇・六以下ニ減ジタルモノ又ハ一眼視力〇・
    一以下ニ減ジタルモノ
  二 両眼ニ半盲症、視野狭窄若ハ視野変状ヲ残スモノ又ハ両
    眼ノ眼瞼ニ著シキ欠損ヲ残スモノ
  三 鼻ヲ欠損シ其ノ機能ニ著シキ障害ヲ残スモノ
  四 咀嚼若ハ言語ノ機能ニ障害ヲ残スモノ
  五 両耳ノ聴力四十糎以上ニテハ尋常ノ話声ヲ解シ得ザルモ
    ノ又ハ一耳ノ聴力耳殻ニ接セザレバ大声ヲ解シ得ザルモ
    ノ
  六 頸部ニ著シキ運動障害ヲ残スモノ
  七 一手ノ一指以上ヲ失ヒタルモノ(中指、環指又ハ小指ノ
    ミヲ失ヒタルモノヲ除ク)又ハ一手ノ拇指ノ用ヲ廃シタ
    ルモノ、示指ヲ併セ二指ノ用ヲ廃シタルモノ若ハ拇指及
    示指以外ノ三指ノ用ヲ廃シタルモノ
  八 一上肢ノ三大関節ノ中一関節ノ用ヲ廃シタルモノ又ハ一
    上肢ニ假関節ヲ残スモノ
  九 一下肢ヲ三糎以上短縮シタルモノ
  十 一下肢ノ三大関節ノ中一関節ノ用ヲ廃シタルモノ又ハ一
    下肢ニ假関節ヲ残スモノ
 十一 十趾ノ用ヲ廃シタルモノ又ハ一足ノ第一趾若ハ他ノ四趾
    ヲ失ヒタルモノ
 十二 胸腹部臓器ノ機能ニ障害ヲ残シ軽易ナル労務ノ外服スル
    コトヲ得ザルモノ
 十三 精神ニ障害ヲ残シ軽易ナル労務ノ外服スルコトヲ得ザル
    モノ
 十四 神経系統ノ機能ニ障害ヲ残シ軽易ナル労務ノ外服スルコ
    トヲ得ザルモノ
 十五 以上各号ニ該当セザルモノト雖モ疾病又ハ負傷ニ因リ労
    働者トシテ従来ノ労務ニ服スルコト能ハザルモノ

 備 考
  別表第一ノ備考ト同ジ







 国立公文書館デジタルアーカイブの画像を基に作成しました。
  労働者年金保険法御署名原本
  労働者年金保険法施行令御署名原本
  船員保険法御署名原本(昭和十四年四月五日)
  船員保険法施行令御署名原本(昭和十五年二月二十二日)



 社会保険方式による年金制度は、…わが国においては、昭和一四年の船 員保険が民間被用者に対して実施された年金保険制度の最初のものである が、その後、昭和一七年に労働者年金保険法が制定されるにいたり、一般 労働者に対する年金保険制度が発足したわけである。この労働者年金保険 制度はその名称をみてもわかるように、その対象は、一般被用者のうち、 筋肉労働者のみを対象としたものであって、いわゆるホワイトカラーとい われる事務的職員は対象から除外されていた。その後昭和一九年にいたっ て、労働者年金保険法は厚生年金保険法と改称され、事務的職員及び女子 までを含む一般被用者を対象とするようになり、また、適用事業所の範囲 も拡張されて、従来は十人以上の労働者を使用する事業所に限られていた ものを五人以上を使用する事業所までを適用事業所とするようになった。 その後も、土木、建築、通信、報道、医療その他従来適用のなかった職種 にまで適用が拡張され、次第に発展の方向をたどってきたことが見られる のである。            (厚生白書(昭和三二年度版)より)  年金保険の面では、昭和一四年に船員保険法が、一六年には労働者年金 保険法が制定された。これら諸制度は、労働者保護という本来の目的もさ ることながら、一面では人的資源の確保及び余剰購買力の回収を図るとい う戦時における国家目的を併せ持ったものであり、今日の社会保障とはそ の理念において異なるものであった。 (厚生白書(昭和五〇年版)より) 二〇一〇・一〇・一〇 登載 【参考資料集】


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